工細胞膜で複雑な生命機能を理解する

人工細胞膜のリポソームの顕微鏡像

細胞膜は、リン脂質という両親媒性分子が二重膜(リン脂質二重膜)を形成しています。この細胞膜の厚さは、約5 nm(ナノメートル)と非常に薄いですが細胞の内側と外側を隔てています。細胞膜には、無数の膜タンパク質が存在し、細胞内外への物質輸送や情報伝達といった生命活動に重要な役割を担っています。膜タンパク質は薬剤のターゲットになっているため、目的の膜タンパク質の機能を詳細に観察できる場の構築が必要となってきました。細胞膜と同様なリン脂質二重膜から構成されている人工細胞膜のリポソームにより、膜タンパク質の解析研究が行われてきました。しかし、細胞内の複雑な反応機構をリポソームで再現することは未だ困難です。そこで、私はタンパク質等の様々な生体分子をブロックのようにリポソームへ組込む技術を確立することで、細胞内の複雑な反応機構をリポソーム内で再現し細胞機能の理解を目指しています。自分の思い通りに、細胞内の複雑な反応をリポソームに再現できると、例えば、希少な物質を効率良く産生できる人工細胞の作製や生命の起源の解明が可能になります。

  • Electrophysiological measurement of ion channels on plasma/organelle membranes using an on-chip lipid bilayer system, Scientific Reports, 8, 17498 (2018).
  • Well-controlled cell-trapping systems for investigating heterogeneous cell-cell interactions, Advanced Healthcare Materials, 7, 1701208 (2018).
  • Cell-sized asymmetric lipid vesicles facilitate the investigation of asymmetric membranes, Nature Chemistry, 8, 881-889 (2016).
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