能性酸化物材料の開発

酸化物エレクトロルミネッセンス素子の発光の様子.

 酸化物材料は耐熱性や耐摩耗性が高く、大気中の酸素や水分に対して安定であるなど、耐久性の高い材料です。また、電気を大量に蓄えたり、透明で電気を流したりするなど、優れた機能をもつ酸化物が存在し、電池やコンデンサー、ディスプレイなどの身の回りの製品にたくさん使われています。私たちの研究室では、酸化物に潜在する機能をさらに引き出し、それを利用する研究を行っています。また、化学的手法を駆使した機能性酸化物材料の新しい作製方法についても研究しています。
 現在、力を入れている研究は酸化物エレクトロルミネッセンス素子です。その一例を写真に示します。この素子は、金属イオンを溶かした溶液を基板上に滴下して溶媒を蒸発させることで金属塩の薄膜を作製し、これを焼成するという簡便な化学的手法で製しています。酸化アルミニウムAl2O3の基板上に電気を流す(In0.95Sn0.05)2O3の薄膜と電流を流すと光る酸化物 (Ca0.6Sr0.4)0.998Pr0.002TiO3の薄膜が、いずれも数百nm程度の厚さで積み重なっており、これに電流を流すと赤色に発光します。この発光素子の特性はまだ実用レベルではありませんが、酸化物材料の耐久性の高さとその作製の容易さを生かした用途への実用化を目指して研究を行っています。

基盤部門
教授 京免 徹
研究紹介トップ