一遷移金属を利用した光機能性金属錯体

第一遷移金属錯体による光触媒反応

 金属錯体とは、金属イオンと配位子からなる分子です。金属イオンと配位子との複合化により、それぞれにはない特異な特性が発現します。近年特に注目されるのが、金属錯体の光機能性です。ルテニウム(Ru)や、イリジウム(Ir)、レニウム(Re)といった金属イオンと、2,2’–ビピリジンや、1,10–フェナントロリンといった有機配位子とからなる金属錯体は、可視光吸収や電圧印加により高効率に発光するため、ELディスプレイなどの発光素子として利用されます。また金属イオンは、多くの分子との配位により付加体を形成するため、CO2の還元反応などの触媒としても働きます。これらの光応答性と触媒特性とを上手に組み合わせることにより、金属錯体が、環境・エネルギー問題解決のための「人工光合成」光触媒としても働きます。
 私の研究では、これら金属錯体の機能を、身近な金属種を用いて発現されるための研究を行っています。鉄(Fe)や銅(Cu)などの金属種は、産業活動の中で多用されているばかりか、自然界に多く存在するありふれた金属です。これらの金属元素は、周期表では第一遷移金属元素に分類されます。これら第一遷移金属元素からなる金属錯体を用いて発光材料や光触媒を作ることができれば、安価で普及しやすい高機能材料を開発することができます。

准教授 竹田 浩之
  • “Development of Visible-Light Driven Cu(I) Complex Photosensitizers for Photocatalytic CO2 Reduction (CO2還元光触媒反応へ向けた可視光駆動Cu(I)錯体光増感剤の開発)” Front. Chem. 2019, 7, 418.
  • “Highly Efficient and Robust Photocatalytic Systems for CO2 Reduction Consisting of a Cu(I) Photosensitizer and Mn(I) Catalysts (Cu(I)光増感剤とMn(I)触媒からなる高効率・高耐久性CO2還元光触媒)” J. Am. Chem. Soc. 2018, 140, 17241–17254.
  • “Photocatalytic CO2 Reduction Using Cu(I) Photosensitizers with a Fe(II) Catalyst (Fe(II)触媒とともにCu(I)増感剤を用いたCO2還元光触媒反応)” J. Am. Chem. Soc. 2016, 138, 4354–4357.
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