生物を用いた環境浄化技術の開発

河川底質から環境汚染を
調査します。

実験室では様々な
環境微生物を培養します。

空気と土を介して雑草に繋がる壮大な自然

 外を歩くと街はどこもコンクリートで埋め尽くされていますが、至る所でその隙間から生え出た雑草を見つけることができます。コンクリートと雑草の関係は人間社会と自然との関係を表しています。雑草は必ず生えてきます。消滅させることはできません。自然とは災害も含めてそういうものです。雑草が生えるのは、空に太陽があり、大気があり、空気中にはCO2やO2やH2Oがあり、コンクリートの下には土があり、土の中には無数の微生物が存在しているからです。空気と土を介して雑草に繋がる壮大な自然があるのです。
 

生命の基盤的存在の微生物

 人間の叡智を結集させた現代の社会ですが、50年後100年後の未来の社会のためには「社会も自然の一部であることの理解」と「自然そのものの理解」を今もっともっと深める必要があります。特に微生物は水環境のみならず大気、土、人体など地球上のあらゆる環境中の様々な現象に関与しています。微生物は生命の基盤的存在なのです。ですから私は微生物に着目して研究をしています。微生物の生態を探求して得られる知見に基づいた、水の浄化、有用微生物の活性化、水質の安定性や安全性のための微生物の制御、水環境保全などに関わる技術の研究開発です。

物質・環境類
准教授 伊藤 司
  • Ito T, Adachi Y, Yamanashi Y, Shimada Y, Long-term natural remediation process in textile dye–polluted river sediment driven by bacterial community changes, Water Research, 100: 458–465. (2016)
  • 微生物生態と水環境工学研究委員会(栗栖太、伊藤司、青井議輝、久保田健吾、佐藤弘泰、金田一智規、井上謙吾、寺田昭彦).微生物生態と水環境工学に関する最新研究動向.水環境学会誌.39(12):444-451. (2016)
  • 伊藤 司.細胞外多糖類の生成を抑制する超小型微細気泡発生装置.書籍「微細気泡の最新技術 Vol.2 ~進展するマイクロ・ナノバブルの基礎研究と拡がる産業利用~」内 第5章第1節 p223-230, エヌ・ティー・エス出版 (2014)
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