電圧と食品・バイオ・水の融合を目指して

図1 パルス殺菌の模式図

図2 水中放電プラズマの発生

 私たちの体は70%以上が水です。水の高度利用技術開発は必須と言えます。私の研究室では、水環境の保全と水の高度利用を目的に、高電圧テクノロジーを水系に応用することで、食品・バイオ・水環境への展開を目指しています。私の研究室では主に高電圧パルス(間欠的に数マイクロ秒間、10kV以上の電圧を印加する操作)を使用して、食品・バイオ・水環境への展開を試みています。
 

パルス殺菌って何?

 図1はパルス殺菌の原理をイラストにしたものです。微生物を囲んでいる細胞膜は脂質分子が二重層を形成した脂質二重層がベースとなっています。またこの細胞膜は電気的にみると絶縁性が高い構造物です。ここに外部から高電圧パルスを印加すると細胞膜内外に電位差が生じ、やがて細胞膜破壊現象が誘引できると考えられています。この殺菌原理は一般の加熱殺菌とは全く異なるもので、食品の変質・劣化を最小限にしながら殺菌可能な技術として期待されています。
 

雷を起こす?水中で?

 雷は大気中で起こる放電プラズマで、この発生は一般にガス中(または減圧下)に限られていました。私の研究室では放電プラズマの水処理への応用を試みています。従来放電プラズマを水中で発生させることは困難と考えられてきましたが、私たちは高電圧パルスとガスバブルの利用で、安定した水中放電プラズマを形成させるシステムを提案しています。このシステムで殺菌に加え、水中有機物の分解を確認しています。(図2)

大島 孝之
教授 大嶋 孝之
  • 谷野孝徳,岡本憲幸,岸和範,松井雅義,大嶋孝之 (2018) 「高電圧パルス電界処理による黒麹Aspergillus nigerの増殖とクエン酸発酵の増進」静電気学会誌42(2):in press
  • 廣澤充、谷野孝徳、牧田康平、大嶋孝之(2016)「水溶性切削油から単離された細菌のパルス放電に対する耐性の検証」静電気学会誌40(2):102-107
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