算の工夫でコンピュータを賢く

設計した回路のソフトウェアによる表示

設計した回路の計算機シミュレーション

 コンピュータで行われる複雑な計算は、基本的な計算をものすごい速さで大量にこなすことで実現しています。例えば掛け算は、コンピュータの中でも人間が紙と鉛筆で掛け算をするときのように、複数の数値を加算することで計算しています。この掛け算を早く行うために、一回の加算にかかる時間を短くする方法や、加算の個数を減らす方法、一度に複数の加算を同時に行う方法など色々な方法が考えられています。もっと複雑な計算であれば、計算の順序を変えたり、予め結果が分かっている部分的な計算は先に計算してしまったり、数値を分割して並列に計算し、最後に結合して答えを出したりなど、色々な工夫が考えられます。そのような基本的な計算を速く行えるようになると、計算全体も速く行えます。我々の研究室では、計算を効率よく行うための手法(算術演算アルゴリズム)の研究や、それを計算する回路(プロセッサ)の設計、評価などを行っています。コンピュータがちょっとの工夫で賢くなると、今まで以上に出来ることが増えるのはもちろん、早く計算を終わらせ、空いた時間は電気を使わないようにすれば、省エネにもつながります。物理的、化学的な進歩の他に、「工夫」という角度から、コンピュータの進化を支える研究を行っています。

電子・機械類
准教授 田中 勇樹
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