化学反応で新物質を創製する

光化学反応で作られたピセン
(世界初の有機超伝導物質)

励起状態の分子

 高校生の皆さんが学校で学ぶ化学では、未来永劫安定に存在する物質を扱っていると思います。このような物質はエネルギー的に最も安定な状態(基底状態といいます)にあります。基底状態の分子に光のエネルギーを与えて、エネルギーの高い状態(励起状態といいます)にしたときに、どのような化学反応がどの程度で起こるのかを私は研究しています。励起状態の分子は不安定なので、獲得したエネルギーを化学反応の推進に使用したり、光として放出して安定な状態に遷移しよう とします。基底状態では起こらない反応も励起状態では簡単に起こることもあります。最近、励起状態の反応を使って、世界初となる有機超伝導物質の作成に成功しました。なんと,紫外線を当てるだけでこの物質ができるのです。さらにこの物質は有機トランジスタにもなることがわかりました。

物質・環境類
准教授 山路 稔
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