コンピュータの潜在能力を開花させる
コンピュータには無限の可能性がある
私は、コンピュータにこんなことをさせることができるのか!と思わず感嘆してしまうような研究が好きです。コンピュータの計算が早いのは、そのように設計されているので、ある意味当然で、さほど心をくすぐられません。しかし、ありあまる計算能力を使って意外な方向にその能力を発揮させられると、目から鱗が落ちると同時に好奇心がくすぐられます。特に初見の時は、何かの特殊能力が開花した瞬間を目の当たりにした感動が大きいです。研究の醍醐味はこういう所にあると思います。私はコンピュータに詰将棋を解かせるなどの研究をしてきました。今や数百手詰めの詰将棋も難なく解けます。
最近の鍵は人工知能
コンピュータは結局は計算しているのですが、計算だけが能ではありません。どんな能力を引き出せるかはアイデア次第です。では何ができるのか、その可能性を最近大いに広げているのが深層学習などの技術を原動力とする人工知能だと思います。写真に写っているのが何かを当てたり(ということは、カメラで何を見ているのかも分かります)、音声を文章に変換したり、英語を日本語に翻訳したり、写真をゴッホの絵画風に変換したり、写真の状況を文章で説明したり、実に様々なアイデアが日々産み出されています。以前から存在したアイデアを飛躍的に洗練させる事例も多いです。私は現在、深層学習を使って古文書を読むコンピュータを作りたいと思っています。