カーボンの構造制御 -分子からナノ構造まで
カーボン材料は炭素六角網面によって構成される材料の総称です.カーボン材料は古くて新しい材料とも言われ,古くは石炭や黒鉛,近年ではグラフェンやカーボンナノチューブといった新規カーボン材料が注目を集めています.カーボン材料の構造は極めて複雑で,その構造は炭素六角網面の大きさや積層の仕方,網面の完全性,細孔構造等,多肢にわたる要素から言及されます.さらにその構造中に官能基やヘテロ原子を導入することで多種多様な表面特性を示すことが知られています.こういった構造の複雑さから,カーボン材料は多種多様な特性を有し,電極材料から触媒材料まで多くの応用がなされています.カーボン材料の工業利用価値を高めるためには,ナノ構造は勿論のこと分子レベルでの構造制御が必要不可欠です.私たちはそういったカーボンの構造制御技術の開発と応用に関する研究を進めています.例えば,一分子の厚さ(1 nm以下)のカーボン薄膜を電子デバイスに用いたり,カーボンナノチューブを規則正しく集積してみたり,分子レベルのカーボンの立体構造を構築したりと,カーボンの構造を自由自在に制御できるように様々な手法・アイデアを試しています.
物質・環境類
准教授 石井 孝文
- T. Ishii, T. Kyotani, “Temperature Programmed desorption”, Materials Science and Engineering of Carbon: Characterization, Elsevier, (2016)
- 石井孝文,神成尚克,小林里江子,尾崎純一,”表面カーボンアロイングによるカーボンブラックの機能化”,カーボンブラックを上手に使用する処方箋~種類,製法,用途から最先端技術まで~,R&D支援センター, (2017).