超高感度ナノワイヤバイオセンサの創製
新型インフルエンザや重症急性呼吸器症候群(SARS)などの新しい感染症の出現につれて、感染初期段階での判定と早期治療による重篤化や流行を抑えることが求められています。ウイルス感染初期のバイオマーカーの血中濃度は10粒子/mLで、モル濃度は10~100 aM(1 aM=10 -18 M)に相当します。シリコンナノワイヤ(SiNW)バイオセンサは電界効果トランジスタ(FET)の原理を利用して、低濃度の生体分子を検出可能であるが、報告された生体分子の検出限界濃度は2 fM(1 fM=10-15 M)であり、感染や疾病の早期診断、低侵襲検査には感度が不十分です。私たちはナノ微細加工技術で作製したサブ20 nm幅のSiNWバイオセンサを用い、濃度6 aMの生体分子の検出に成功しました。この技術は早期のウイルス検出に応用可能です。
現在、私たちは更なる高感度SiNWバイオセンサを実現するため、SiNWバイオセンサ構造の最適化を目指しています。さらに、将来的に医療現場で1回の検体溶液の採取で多種類のウイルスを同時に検出できるマルチバイオセンサ流体チップと多チャンネル計測システムの開発を目指して研究しています。
電子・機械類
助教 張 慧
- Tomoya Tashiro, Hui Zhang, Kakeru Oshima, Yuya Sakurai, Takaaki Suzuki, Noriyasu Ohshima, Takashi Izumi and Hayato Sone, “Fabrication of N-type Silicon Nanowire Biosensor for Sub-10-Femtomolar Concentration of Immunoglobulin”, Key Engineering Materials, Vol. 790, pp. 28-33, (2018).
- Hui Zhang, Taiyu Xu, Shuichiro Hashimoto, Takanobu Watanabe, “The Possibility of mW/cm2-class On-Chip Power Generation Using Ultra-Small Si Nanowire based Thermoelectric Generators,” IEEE Transactions on Electron Devices, Vol. 65, pp.2016-2023 (2018). doi:10.1109/TED.2018.2817641
- Hui Zhang*, Yulong Zhang, You Yin and Sumio Hosaka, “The Dependence of Crystallization on Temperature in the Nanosecond Timescale for GeTe-based Fast Phase-Change Resistor”, Chemical Physics Letters, 650, 102-106 (2016).