体膜の構造・物性・機能を総合的に理解

(左)細胞の顕微鏡像と(右)細胞膜の模式図

角層と細胞間脂質の模式図

生体膜は、脂質二重層膜を物理的本体とする二次元の液体です。この脂質膜中でタンパク質が会合・活性化することで、生体機能が発現します。また、タンパク質の活性は脂質膜の構造や物性とも密接に関連しています。脂質膜はどのようにしてタンパク質の活性を制御しているのでしょうか?私たちは、単純な人工膜を用いて脂質膜の構造や物性を詳細に解析し、その知見を実際の細胞膜に応用することで、生体機能発現のメカニズムを明らかにしたいと考えています。その他にも、脂質膜の構造をナノスケールで解析する技術の開発や、細胞膜を標的とする薬剤の作用機序に関する研究にも取り組んでいます。
さらに、脂質膜がもつバリア機能にも注目しています。私たちの皮膚表面を形成する角層は複数の死細胞とその隙間を埋める脂質膜で形成されています。とりわけ脂質膜は、外界からの異物の侵入を防ぎ、生体内からの水分蒸散を抑える重要な役割を果たしています。そこで、角層に存在する脂質膜の構造や物性がバリア機能に及ぼす影響を明らかにし、その成果を創薬や化粧品分野の研究に応用することを目指しています。

基盤部門
准教授 木下 祥尚
    • Mechanism of local anesthetic-induced disruption of raft-like ordered membrane domains. Biochimica et Biophysica Acta −Gen. Subj. 1863, 1381−1389 (2019).
    • Assembly formation of minor dihydrosphingomyelin in sphingomyelin-rich ordered membrane domains. Sci. Rep. 10, 11794 (2020).
    • Low-flux scanning electron diffraction reveals substructures inside the ordered membrane domain. Sci. Rep. 10, 22188 (2020).
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