デバイスの心臓部「界面」の機能を計測する
私たちが普段使うパソコンやスマートフォンの頭脳を司っているのは、ナノメートル程のサイズに加工された、半導体や金属などの微小な構造体からなる「デバイス」です。非常に薄い物質である「薄膜」同士を重ねて作る積層構造のデバイスを用いることで、演算や記憶などの「機能」を作り出すことができます。薄膜の重なり面である「界面」では、機能の起源となる電子やスピン(磁力の元)の状態が不連続につながり、それが新たな機能を生み出したり、時には機能の邪魔をしたりします。言わば界面は、機能を決定するデバイスの心臓部にあたります。私は大型加速器から生み出される非常に強い光「放射光」を用い、界面の状態を精密に観察する先端的な光計測技術を開発しています。標準的な顕微鏡とは異なり、光を使ってデバイス内部を透視し、さらに化学状態を分析する画期的な分光学的な手法です。この手法を使って界面の良し悪しを診断し、高性能なデバイス開発に役立つ研究を行うことが目標です。このような応用研究の他、基礎物理学的な視点に基づく新たな放射光技術の開発も視野に入れています。
基盤部門
准教授 鈴木 真粧子
- Development of high signal-to-background ratio depth-resolved soft X-ray absorption spectroscopy by fluorescence energy selection: M. Suzuki-Sakamaki and K. Amemiya, Jpn. J. Appl. Phys. 57, 120308-1-4 (2018).
- Observation of electric field-induced interface redox reaction and magnetic modification in GdOx/Co thin film by means of depth-resolved x-ray absorption spectroscopy: M. Sakamaki and K. Amemiya, Phys. Chem. Chem. Phys. 20, 20004-20009 (2018).
- Nanometer-resolution depth-resolved measurement of fluorescence-yield soft x-ray absorption spectroscopy for FeCo thin film: M. Sakamaki and K. Amemiya, Rev. Sci. Instrum. 88, 083901-1-4 (2017).