生体型センサ・信号情報処理高分子デバイス
近年のデジタル技術の進歩は目覚ましく、2025年には人類の使う消費電力の約20〜40%を情報処理が占めると予測されています。一方、従来型のコンピュータとは異なり、動物はその中枢神経系や感覚神経系において、超低消費電力の情報処理を実現しています。この動物の驚くべき情報処理では、環境に存在する雑音といったノイズを遮断するのではなく、むしろ積極的に利用されています。この生体型のセンサや情報処理システムを人工的に作ることができたら、情報処理による消費電力を大幅に低減できると期待されます。高分子創発機能科学研究室では、高分子材料科学の立場から、高分子の分子運動を積極的に利用した新規の有機エレクトロニクスデバイスを作製しています。そのようなデバイスを生体由来の微弱信号の検出に利用し、リハビリテーション・食事介助・排泄介助といった医療や介護に役立てることを主に目指しています。そのために、従来の価値観では有用性が低いとされてきた、室温付近に融点が存在するバイオベースポリマーやパイ共役系高分子半導体に着目して研究を進めています。さらに、高分子デバイス中の分子運動や電子の性質を調べる実験的評価法の開発も行っています。
物質・環境類
教授 浅川 直紀
- “Robust thresholdlike effect of internal noise on stochastic resonance in an organic field effect transistor”, Phys.Rev.E, 97, 012217-1/8 (2018).
- “Electrically Detected Magnetic Resonance Observations of Spin-Dependent Space-Charge-Limited Conduction in Regioregular Poly(3-hexylthiophene)”, Macromol.Chem.Phys., 219, 1700395-1/6(2018).
- “Angular-dependent EDMR linewidth for spin-dependent space charge limited conduction in a polycrystalline pentacene”, Front.Mater., 4, 24-1/8(2017).