機半導体のキャリアダイナミクスの解明と応用

図1.有機半導体中のキャリア移動

図2. 海磁気共鳴測定による有機半導体デバイス測定

有機半導体は、柔軟性や軽量といった性質によりエレクトロニクスデバイスとしての利用が発展しつつあります。実際に、曲がるディスプレイなどで有機ELを見た、あるいは既に触れた人もいるかもしれません。他にも、有機トランジスタや有機太陽電池などが研究されています。
この有機半導体ですが、デバイスの中を電子などの電荷(キャリア)が移動することで動作しています。この電荷の移動方法を解明することで、より高性能なデバイスの発展を促せると考えています。その方法として、デバイスに対する磁気共鳴装置を用いた測定方法の開発とそれを用いた測定を行っています。特に磁気共鳴装置では、キャリアのスピン状態が詳細に観測できます。スピン状態は、エレクトロニクスよりも低消費電力や高速動作などが期待され、現在盛んに研究がなされている分野です。処理が早く、その上電池が長持ちする機器が実現すると考えられています。
また、磁気共鳴の原理を利用した脳型の情報伝達デバイスの開発も目指しています。

物質・環境類
  • “Electrically detected magnetic resonance of organic Schottky barrier diodes”, Molecular Crystals and Liquid Crystals, 704, 17-23(2020).
  • “Electrically Detected Magnetic Resonance Observations of Spin-Dependent Space-Charge-Limited Conduction in Regioregular Poly(3-hexylthiophene)”, Macromolecular Chemistry and Physics, 219, 1700395-1/6(2018).
  • “Angular-dependent EDMR linewidth for spin-dependent space charge limited conduction in a polycrystalline pentacene”, Frontiers in Materials, 4, 24-1/8(2017).
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