流行地の免疫環境を再現するワクチン
【研究のきっかけ】 マラリアには有効なワクチンがない
マラリアは世界最大の感染症(AIDS, 結核, マラリア)の一つです。マラリアは最初の感染またはワクチン投与によって免疫(抗体)ができても、免疫力が次第に低下し、次の感染を完全に防ぐことができない特徴があります。しかし、流行地では、多くの住民が絶えずマラリアに感染することで免疫力を維持しています。そこで、ワクチンの抗原を少しずつ体内に放出できれば免疫状態を長期間維持できるのではないか――と思いつきました。この着想がワクチン研究の出発点です。
【研究への思い】 ものづくりイノベーションに結びつけたい
私の研究は表面的にはワクチン開発ですが、これは化学研究そのものです。つまり日本のものづくり製造業が付加価値の高い次世代産業へ発展するにはどうしたらいいかと考えて、学生の教育や研究にあたっています。すなわち、“医療・保健分野を通したものづくりイノベーション”として、臨床や製造業の現場におけるニーズと理工学部の研究シーズと結びつけられるような――異分野の“通訳”ができるような――人材育成と研究開発を進めてゆきたいと考えています。
物質・環境類
准教授 奥 浩之
- 「熱帯熱マラリア原虫のエノラーゼ蛋白質の部分配列を用いた人工抗原とその製造方法」 国際特許公開 WO2016084944 A1 2016年6月.
- 奥 浩之、狩野 繁之.「マラリアの基礎とワクチン」 バムサジャーナル, 26巻, pp. 31-35, 2014年.
- 群馬大学 研究活動報「水源」vol. 1 (特集「群馬大学の熱帯病研究」)2017年3月.