二次元材料の合成及び構造と物性
当研究室では近年注目を集めているグラフェンや黒リンなどの二次元材料について研究を行っています。二次元材料とは、原子の二次元的結合構造を持った薄膜物質です。例えばグラフェンは図1に示すようなsp2混成した炭素原子がハチの巣格子状に並んだもので、次世代材料としてもっとも期待されています。しかし、グラフェンはそのままの状態では実用化は困難です。例えば、グラフェンはそのままでは化学的に不活性で、分子が吸着できず、バイオセンサーなどの応用には用いることができません。バイオセンサーとしてグラフェンを活用するには、電極としてターゲット分子を感知する必要があります。グラフェンを用いた新技術実現には化学的もしくは機械的にグラフェンを改変することが必要です。現時点でグラフェンに直接結合することがわかっている分子はラジカルを有するほんの少数の分子のみです。当研究室ではグラフェンや黒リンなどの二次元材料を合成し、表面構造及び固体表面上の化学修飾について研究しています。当研究の成果は新たな二次元ナノ物質の創生につながり、化学センサー、バイオセンサー、複合材料、薬物の体内輸送、ディスプレイ、タッチスクリーン、太陽電池などの高性能電子デバイスとして用いられると期待されます。
物質・環境類
教授(未来先端研究機構所属)エムデイ ザキール ホサイン
- Md. Zakir Hossain et. al.– Chemically homogeneous and thermally reversible oxidation of epitaxial graphene, Nature Chem. 4, 305 (2012).
- Md. Zakir Hossain and Maisarah B. A. Razak- ‘Halogenation of epitaxial graphene grown on the Si-face of the SiC(0001) substrate and its further reaction with Grignard reagent’ New J. Chem. 40, 1671 (2016).
- Md. Zakir Hossain, Hiyama Yoko, M. A. M. Jusoh – ‘Organic functionalization of epitaxial graphene on SiC through direct binding of transient radicals from the reaction mixture’, Chem. Commun. 52, 14380 (2016).