微生物と上手に付き合う
私達の生活環境には多数の微生物が存在しています。微生物は食品を腐らせ(腐敗)ますが、醤油や味噌のような食品の製造(発酵)でも活躍しています。あるときは微生物を殺菌し食品の安心・安全を確保する、あるときは微生物が有する機能を利用して有用物質(食品・化学物質)やエネルギーを作る、微生物と上手に付き合うことは私達の生活を豊かなものとしてくれます。
食品の殺菌といえば、食品を茹でたり焼いたりする加熱調理が思い浮かぶと思います。加熱調理は現在最も広く用いられていて確実な殺菌方法ですが、加熱するのでもちろん素材本来のフレッシュな(新鮮な、生の)風味は失われます。しかし、フレッシュな風味は残しつつも殺菌された安全な食品を食べたい! そこで私達は非平衡プラズマとよばれる”熱くない”プラズマや150ナノ秒(1ナノ秒は10億分の1秒)の極瞬間的なパルス電圧といった静電気技術を活用して食品の非加熱殺菌技術の開発を行っています。
発酵による有用物質生産の多くは微生物機能を利用した原料(糖・アルコールなどのバイオマス)の酸化によって製造されています。また微生物機能を利用したバイオマスの酸化は微生物の力によって電力を生産する微生物燃料電池技術にも用いられています。私達は発酵に微生物燃料電池技術を応用することで有用物質と電力が併産(コプロダクション)可能とする技術開発を実施しています。