機酸化物系リチウムイオン導電体の研究

赤外線加熱単結晶製造装置

レーザーアブレーション装置

 固体なのに電解質溶液と同じようにイオンが電気を導く物質があります。このような物質は「イオン導電体」と呼ばれています。例えば、リチウムという金属のイオンだけを通すリチウムイオン導電体を利用すると、「究極の電池」と言われている液漏れがなく安全で小型・高性能の「全固体リチウムイオン二次電池」を作ることができます。その実用化のためにはイオン導電体の性質を十分に調べ、どのように物質設計し、最適なものを作るかなど解決しなければならない点がたくさんあります。イオン導電体の性質を研究するためには、その単結晶や薄膜について調べる必要があります。そのため、世界的にも作製例が無い結晶を作製したり、高出力レーザーを使ってイオン導電体薄膜の作製も行っています。作製した結晶や薄膜のイオン伝導特性をはじめとした物性を測定し、イオン伝導に関する理論やモデルなどを適用して解析することで、固体物質の原子レベルの骨組構造の中をイオンがどのように運動して移動するのか明らかにします。このような基礎研究を通して「究極の電池」などの未来の高度技術の実現に貢献できることを願って研究をしています。

電子・機械類
准教授 古澤 伸一
  • Shin-ichi Furusawa and Yosuke Minami, Synthesis and Ionic Conductivity of KAlSi3O8, Key Engineering Materials, Vol. 698 pp. 8-12 (2016)
  • Shin-ichi Furusawa, Kouhei Shimizu and Takao Tsurui, Ionic Conductivity of Li2SiO3 Thin Film on Sapphire Substrate, The Journal of the Physical Society of Japan, Vol. 79 Suppl. A , pp.76- 79 (2010)
  • ドリルと演習シリーズ「電磁気学」(編著者代表:古澤伸一),電気書院,2012年刊
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