工心臓の開発

開発した全人工心臓の概略図

重度の心臓疾患患者の救命を目的に,様々の心臓補助装置が使用されはじめています。そのほとんどは左心室補助を目的にしていますが,左心室補助装置を適用した患者の約20 %が後に右心室不全を患うという報告がなされています。しかし,両心室を補助・置換可能な人工心臓は臨床的にはまだ存在していないため,開発が求められています。上記の問題に対し,ロータの制御に磁気ベアリングを用いることで,両方のアウトレットからの血流量を自動調整可能な人工心臓を開発しました。ロータの軸方向位置は上部の磁気ベアリングにより制御し,回転は下部のブラシレスDCモータにより制御します。また,中央のロータの上面に右心室用のインペラを配置し,下面に左心室用のインペラを配置しています。そして,ポンプケーシングに右心用・左心用のインレットとアウトレットを備えることで,両心臓を補助または置換することが出来ます。このような実験装置を製作し,現在までに複数回の動物実験に成功しました。

電子・機械類
准教授 栗田 伸幸
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