FM電波異常と地震発生との関連性解析

観測中のFM放送送信点と観測点

FM放送波に現れた電波の異常

 身近な放送であるFMラジオ放送は、東京(東京タワー、スカイツリー)や埼玉、千葉、茨城など各地から関東圏内に向けて放送されています。群馬大学桐生キャンパスと前橋市にある荒牧キャンパスで、これらFMラジオ放送の電波を長期間連続観測した結果、観測された電波強度の異常変動と関東で発生する地震との間に関連性があることが分かってきました。本研究室では、数年間の長期電波連続観測によって得られた大量の観測データを統計処理し、地震データベースと比較検証することで、地震発生との関連性を明らかにしようとしています。今までの研究結果から、FMラジオ電波の異常変動は、地震発生の約2日前から数時間前までに発生する確率が高く、地震発生後には発生確率が低くなる傾向があることが分かってきました。電波が異常変動を起こす原因はまだよく分かっていませんが、電波の伝搬路である大気圏内の屈折率が、地震発生前には通常とは違ったものになっている可能性が考えられます。
将来、他の研究者がおこなっている観測結果(地中からの電磁パルス波観測やカーナビやスマホでも使われているGPS衛星波の観測解析など)と組み合わせた観測システムを構築することで、数日前に地震発生を予測することを目指しています。

電子・機械類
  • K. Motojima and N. Haga, Stochastic relation between anomalous propagation in the line-of-sight VHF radio band and occurrences of earthquakes, Natural Hazards and Earth System Sciences (Nat. Hazards Earth Syst. Sci.), 14, pp-2119-2124, (2014). doi:10.5194/nhess-14-2119-2014.
  • 樋口友基、羽賀望、本島邦行:連続ウェーブレット変換を用いた見通し内VHF帯伝搬異常と地震との統計的関連性、J. of Atmos. Electr., Vol. 34, No.2, pp.87-100, 2014.
  • K. Motojima, Precursors of earthquakes in the line-of-sight propagation on VHF band, J. of Atmos. Electr., Vol.29, No.2, pp.95-104, 2009.
研究紹介トップ