光(X線)で物質の性質を見るって?
物質の材料としての性能には、物質内の電子の挙動で決まるものが多数あることが知られています。一方、物質に光をあてたとき、物質が示すリアクションは、使用した光の性質(波長・偏光など)と、物質のもつ性質(構成元素の種類・結晶構造・秩序状態など)との組み合わせにより多種多様であることもわかっています。
従って、『ある波長のX線領域の光だけを選び出す』など、使用する光の性質を上手に設定すると、電子の挙動に起因する物質の性質を入手できます。ただし、その際に得られるデータは、肉眼で物質の『外観を見る』場合とは異なり、大変複雑であるため、データを解釈して物質の『性質を見る』ためには、質の良い理論の助けが必要となります。
当研究室では、主にX線(光)と磁性体(物質)の関与する現象を理論的に(紙と鉛筆とPCを使って)解明する研究を行っており、様々な興味深い現象に対し、『何が起きている?どうすれば効率が上がる?』といった疑問に回答できる理論の構築を目指しています。構築した理論の内容が、科学・技術の発展にわずかでも貢献すると評価を受けたり、理論で予言した未知の現象が、後に実験で検証されたりしたときの達成感は、研究を継続する際の大きな動機付けとなっています。
基盤部門
教授 長尾 辰哉
- 科研費基盤研究(C) 平成27-29年度「スピン軌道結合が強い系の素励起と共鳴X線散乱の理論」
- 第13回アジア太平洋物理会議(APPC-AIP2016) 2016年12月5-8日(ブリスベン)
「Itinerant electron theory of resonant inelastic x-ray scattering in iridate (口頭発表)」 - 最近の論文リスト(簡略版)は研究室URLで閲覧できます。