工現象の可視化と計測

ホイール割断加工における可視化

 身の周りには便利な製品であふれています。これらが開発されて、製品となるには、必ず加工が必要です。また、今日まで社会を豊にしてきた科学技術も、加工方法の進歩とともに発展してきたといっても過言ではありません。例えば、医療や天文学の発展のためには顕微鏡や望遠鏡が不可欠であり、その陰には光学レンズの加工技術の進歩があります。また、情報社会において必要不可欠な半導体の製造は、ナノメートルオーダーの分解能を持つ加工・計測技術により支えられています。このように、加工は社会を豊かにする基盤となる学問です。さらには、加工方法の効率化や高性能化がすすめば、新しい技術・製品の創出はもちろん、エネルギーや資源といった環境問題、労働環境や労働時間といった社会問題など、現代社会の様々な問題の解決に貢献することもできます。
 私は加工現象の可視化と計測をキーワードとして研究を行っています。特に、ガラスや半導体基板、ダイヤモンドなどの硬脆材料の加工と、物体内部に作用する力、すなわち応力の可視化に着目しています。硬脆材料の分断や機械加工において、高速度カメラや走査型電子顕微鏡を用いた現象の可視化や、有限要素法シミュレーションや光弾性実験法といった応力解析(計測)手法を用いて、加工現象のメカニズム解明と、その高性能化を目指しています。

電子・機械類
  • ホイール割断における荷重負荷時の亀裂形成に関する研究(円形亀裂/起点クラックの形成メカニズム)、日本機械学会論文集、Vol. 87、No. 902、p.21-00190 (2021)
  • Dynamic observation of crack generation during wheel scribing from lateral and back sides using a high-speed camera, Precision Engineering, 60, pp421-427 (2019)
  • Aharonov-Bohm effect in the tunnelling of a quantum rotor in a linear Paul trap, Nature Communications 5, 3868 (2014) [6 pages]走査型電子顕微鏡(SEM)を用いたガラスのホイールスクライブ挙動の観察、精密工学会誌、Vol. 84、No. 7、pp634-639 (2018)
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